SNSキャンペーンにおける景品表示法とは?金額の上限や違反した場合の罰則を徹底解説
SNSキャンペーンを行う中で、「景品表示法」が守れているのか気になる方は少なくないでしょう。
景品表示法に違反した場合には、罰則を受けてしまいます。
そのため、SNSキャンペーンを行う場合には、この法律を正しく理解し、遵守することが重要です。
本記事では、景品表示法の基本的な概念や規制内容、違反時の罰則について詳しく解説します。
目次
景品表示法とは
景品表示法は、消費者が不正確な情報や誤解を招く広告や表示によって、商品やサービスの選択を誤らないようにするための法律です。
特に、過剰な景品や誤解を招く表示を防ぐことを目的としており、企業が消費者に対して提供する景品や広告内容に一定の規制を設けています。
この法律に違反した場合、企業は厳しい罰則を受ける可能性があり、信頼を損ねるだけでなく、経済的損失を被ることもあります。
SNSキャンペーンでも、景品表示法を遵守し、適切な広告表示を行うことが重要です。
景品の定義とは
景品とは、消費者が特定の商品やサービスを購入する際に、付随的に提供されるものを指します。
具体的に、景品は以下のように定義されています。
- (1)顧客を誘引するための手段として、
- (2)事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
- (3)物品、金銭その他の経済上の利益
引用:消費者庁「景品規制の概要」
景品表示法においては、消費者の関心を引くために提供されるこれらの特典が、不当に高額であったり、消費者を誤解させるものであってはならないとされています。
SNSキャンペーンで提供される景品も、この定義に基づき、適切な範囲内で設定する必要があります。
景品表示法の種類
景品表示法には、大きく分けて2つの種類があります。
1つは「不当表示に関する規制」、もう1つは「景品類の提供に関する規制」です。
SNSキャンペーンを行う場合には、これらの規制を理解し、適切に運用することで、キャンペーンを成功に導けるでしょう。
続いて、それぞれの規制について詳しく解説します。
不当表示に関する規制
不当表示とは、消費者が実際よりも有利であると誤解するような表示のことです。
例えば、実際の価格や品質が異なるにもかかわらず、あたかもそれが優れているかのように宣伝することが該当します。
また、具体的には以下の3つが規制されています。
- 優良誤認表示
- 有利誤認表示
- 誇大広告やおとり広告
SNSキャンペーンにおいても、不当表示を行うことは法律違反となり、企業の信用を損なう結果となるため、注意が必要です。
景品類の提供に関する規制
景品表示法では、提供できる景品の内容やその価値に関して、厳格な制限が設けられています。
特に、金額の上限が法律で定められており、定められた金額を超える景品を提供することは違法です。
また、特定の状況においては、景品の提供そのものが禁止される場合もあります。
SNSキャンペーンを行う際には、これらの規制を十分に理解し、違反を避けることが重要です。
違反が発覚した場合、企業は厳しい罰則を受ける可能性があり、ブランドイメージの損失にもつながるため、慎重な対応が求められます。
景品表示法で規定された2種類の景品
景品表示法では、景品を大きく「オープン懸賞」と「クローズド懸賞」の2種類に分類しています。
どちらの景品について理解し、規制を守らなければ、景品表示法違反となる可能性があるため注意が必要です。
以下では、オープン懸賞とクローズド懸賞をそれぞれ詳しく解説します。
オープン懸賞
オープン懸賞とは、商品やサービスの購入に関係なく、誰でも参加できる懸賞のことを指します。
オープン懸賞は景品表示法の対象外のため、景品価格の制限がありません。
SNSキャンペーンでは、以下のような条件で参加者を募集することが一般的です。
- フォロー
- リポスト
- いいね
- ハッシュタグをつけた投稿
- LINEの友達登録
このように、参加条件が簡単なため、多くの人が参加しやすいことが特徴です。
クローズド懸賞
クローズド懸賞は、特定の商品やサービスを購入した消費者のみが参加できる懸賞のことです。
例えば、商品購入時に同封される応募券を使って応募する形式がクローズド懸賞に当てはまります。
SNSキャンペーンでも、特定の商品を購入した証明(例:レシートの画像)を提出することで応募できるクローズド懸賞があります。
クローズド懸賞は、景品表示法に基づく規制が適用され、景品の金額や抽選方法について厳格なルールを守らなければなりません。
また、クローズド懸賞は以下の3つに分けられます。
- 一般懸賞
- 共同検証
- 総付景品
次に、3つのクローズド懸賞をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
一般懸賞
一般懸賞は、商品やサービスの購入に対して、抽選やゲーム、くじなど、偶然性や勝敗によって景品を提供する形式のことを指します。
例えば、商品を購入した消費者が応募できるキャンペーンや、店舗での購入者限定のイベントが該当します。
一般懸賞では、景品の内容や金額に関して、景品表示法による厳格な規制があり、これを超える景品を提供することは違法です。
さらに、応募条件や抽選方法が明確で公平であることが求められます。
SNSキャンペーンにおいても、これらの要件を満たし、適切に運用することが重要なため、違反が発生しないよう注意しましょう。
共同懸賞
共同懸賞とは、複数の企業や団体が共同で行う懸賞のことです。
複数の企業が協力して景品を提供し、参加者に抽選やコンテストで景品を提供する形式が一般的です。
共同懸賞は、特定の商品やサービスの購入を条件とする場合が多く、参加企業が提供する商品を複数購入することで応募が可能になることがあります。
景品表示法では、共同懸賞でも景品の金額や内容に制限があり、上限を超える景品を提供することは禁止です。
SNSキャンペーンで共同懸賞を行う場合は、参加企業間での協力が重要であり、法規制を守ることが求められます。
総付景品
総付景品とは、商品やサービスの購入者全員やサービスの利用者全員に提供される景品のことを指します。
例えば、特定の商品を購入した全員にグッズが配布されるケースが該当します。
総付景品は、抽選や応募が必要ないため、多くの消費者にアピールできる手段ですが、景品表示法ではその金額に厳しい上限が設定されています。
SNSキャンペーンにおいても、総付景品を活用する場合は、法律の範囲内での提供が求められ、過剰な景品提供は違法となります。
景品表示法で定められている景品の上限金額
景品表示法では、景品の種類ごとに上限金額が定められています。
定められている上限金額は、以下の表の通りです。
景品の種類 | 上限金額 |
オープン懸賞 | 上限なし |
一般懸賞 | ・取引金額が5,000円未満の場合:取引金額の20倍 ・取引価格が5,000円以上の場合:景品類の上限額は10万円 ※景品の総額は懸賞に関する売上予定総額の2%まで |
共同懸賞 | ・30万円※景品の総額は懸賞に関する売上予定総額の3%まで |
総付景品 | ・取引金額が1,000円未満の場合:200円 ・取引価格が1,000円以上の場合:取引金額の10分の2 ※景品の総額は懸賞に関する売上予定総額の3%まで |
参照:
SNSキャンペーンを行う場合には、事前に実施するキャンペーンがどの景品に当てはまるのか、上限金額はいくらなのかを確認しておきましょう。
景品表示法に違反するとどうなる?
景品表示法に違反した場合、企業は消費者庁から行政処分を受けることになります。
具体的には、違反行為の是正命令や、場合によっては罰金が科されることもあります。
また、企業の信頼が損なわれ、消費者からの批判や不買運動が発生するリスクもあるでしょう。
特にSNSキャンペーンにおいては、違反が即座に拡散される可能性が高く、企業にとって大きなダメージとなり得ます。
違反を未然に防ぐためには、景品表示法の規定を十分に理解し、法律に基づいた適切なキャンペーン運営を行うことが不可欠です。
SNSキャンペーンの景品表示法に関するよくある質問
ここまで、SNSキャンペーンにおける景品表示法について解説してきましたが、より景品表示法への理解を深めてから、キャンペーンを行いましょう。
そのために、以下では、よくある質問に対して詳しく解説し、SNSキャンペーン運営者が知っておくべきポイントをまとめました。
ぜひ、SNSキャンペーンを行う際の参考にしてみてください。
景品表示法ではキャンペーン期間が定められていますか?
これから販売する予定の商品やサービスのキャンペーン期間については、具体的な制限が設けられていません。
しかし、誤解を招かないためにも、適切なキャンペーン期間の設定とキャンペーン期間の明示は必要不可欠でしょう。
キャンペーン期間が長すぎたり、明示されていなかったりすると、通常価格が嘘だとみなされてしまう可能性もあります。
また、過去の販売価格と比較した割引キャンペーンの場合には、最長4週間までの制限が設けられています。
無料キャンペーンは景品表示法の対象になりますか?
無料キャンペーンであっても、景品表示法の対象となる場合があります。
無料で提供される商品やサービスが景品として扱われる場合、その金額や提供条件に応じて規制が適用されます。
無料だからといって法律の範囲外だと考えるのは危険であり、しっかりと法的な確認を行うことが重要です。
まとめ
景品表示法は、消費者保護と公正な市場競争を維持するために重要な役割を果たしています。
特にSNSキャンペーンにおいては、法を遵守しつつ、消費者に対して透明で誠実な情報を提供することが不可欠です。
適切な景品の設定や表示方法を理解し、運用することで、法的リスクを回避しながら、効果的なマーケティング活動を展開できるでしょう。
企業の信頼を守るためにも、景品表示法の知識をしっかりと持ち、慎重に対応することが求められます。