NPOや一般社団法人等のYouTubeチャンネル運用・活用事例10選
SNSが普及し、最近はその中でもYouTubeを活用した集客・マーケティングがトレンドになりつつあります。
様々なジャンル・業種において実際にビジネスにYouTubeを活用して売上の増加に成功しており、非営利団体においても支援者の増加、団体イメージの向上、良い人材の採用などにYouTubeを活用し始めています。
YouTubeは若者を中心に利用者が増えており、市場規模がどんどん拡大していますが、実際に有効活用できている非営利団体は多くありません。
活用するべきとは分かっていてもどうすればいいのか分からない団体がほとんどなのではないでしょうか。
しかし、営利目的ではなく社会的な使命を達成することを目的にした非営利団体こそ社会に届けたい想いがあるはずで、積極的にYouTubeを活用するべきです。
本記事では、NPO法人を始めとする非営利団体がYouTubeチャンネルを活用するメリットや事例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
NPO や一般社団法人等のYouTube運用のメリット
NPO/一般社団法人などのYouTubeチャンネルは視聴者に団体の理念や活動に共感してもらうことが最大のポイントになります。
以下、具体的なYouTube運用のメリットを見ていきます。
挙げられるメリットとしては主に4つあり、
①共感を得やすい
→動画は情報量が多く、ただ文字を読むよりも感情移入しやすくストーリー性をもたせることができる
②コンテンツの活用
→一度投稿した動画はYouTube上に残り続けるので、セミナー代わりに動画を見てもらったり、様々な場面で活用可能
③団体の雰囲気がよく伝わる
→団体の理念や世界観、活動内容など効果的に伝えることができ、視聴者が想像しやすい
④信頼/安心感の構築
→人は話の内容よりも、雰囲気や口調や表情を見て信頼できるかどうか判断する
認知拡大のため、紙媒体やWebサイト等を活用されている方が多いかもしれません。
写真や文章でも魅力を伝えるのは可能ですが、動画だとより多角的に情報が伝わります。
YouTubeを通して理念・活動内容を知ってもらい、興味を持ってもらうことで支援者の増加にも期待ができます。
NPOや一般社団法人等でのYouTubeチャンネル運用・活用事例10選
①日本ユニセフ協会 UNICEFJapanNatCom
日本ユニセフ協会公式のYouTubeチャンネルであり、チャンネル登録者数は約1.3万人。
難民のドキュメンタリーや公共CMの配信、ユニセフ職員のインタビューなど様々な種類の動画コンテンツを配信しています。
また、最近では道端カレンやアグネスチャンなどが、動画に出演するなど、積極的に著名人を活用。
世界的課題を投げかけるコンテンツが多数あり、最近は紛争中であるウクライナに関する動画が多く上がっています。
関心や共感を呼ぶようなコンテンツを多数配信し、視聴者の支援や募金に繋げています。実際、ウクライナ緊急募金などはYouTube経由でそれなりの募金額が集まったことが予想されます。
②不登校、高校中退の若者をサポートするNPO法人DxP
対人恐怖症などの経験がある代表の今井紀明さんが不登校や高校中退の若者をサポートするために発信するチャンネル。
今井さん自身が経験者として、過去にどう立ち直ったかを語ったり、医師と対談して若者に対する有益な情報を発信したりしています。
代表自らが顔を出して出演し、自分の体験談を包み隠さず話すことで団体に対する信頼感が生まれ、支援者の獲得に繋がっています。他にも、インフルエンサーとの対談生放送なども配信。
チャンネル名にも含まれている様に、「不登校、高校中退の若者をサポートする」という分かりやすいコンセプトがあり、それに沿ってコンテンツを発信しているので、視聴者も共感・支援がしやすくなるという良い参考事例です。
③Charity: Water
「発展途上国の人々に透明で安全な飲用水を届ける」ミッションに取り組む海外NPOのCharity:Waterが運営するチャンネル。
団体の理念の紹介やスタッフが、支援者に向けて感謝のメッセージを発信したり、新しい井戸を作り、安全できれいな水が届けられるようになる過程を、現地で撮影した映像を使って配信しています。
特にプロジェクト参加者が、現地での進捗を配信する「The journey」のシリーズはストーリー性が強く、見ていると引き込まれます。
ストーリー性のある動画を上手く活用し、共感を集めつつ視聴者に自分事として捉えさせるような訴求の仕方をしています。
また、現地の様子を配信することで支援者も支援金がどのように使われているのか、明確にイメージすることができるので安心感が生まれ、更なる支援が見込めます。
④全国こども食堂支援センター・むすびえ
「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる」ことを目的とする全国こども食堂支援センターむすびえが運営するチャンネル。
こども食堂と、こども食堂を応援してくれる企業・団体をつなぐ中間支援団体は、イマイチ活動内容が分かりづらい側面があります。
だからこそ動画で団体紹介やこども食堂のことを発信することでこども食堂にむすびえが寄与する役割が明確に伝わり、視聴者のイメージが湧きます。
一見どんな活動をしているのか分かりにくい団体だからこそ動画を活用して伝えるというやり方は、非営利団体にとって大変参考になる事例といえるでしょう。
⑤一般社団法人 JCU
アメリカの保守と数千年の歴史を有する日本の保守をベースに“新しい保守”を打ち立てる一般社団法人JCUが運営するチャンネル。一般社団法人が運営するチャンネルでは唯一の登録者数10万人超え。
ニュースでは報じられない世界の話、未来の話、アメリカ政治のこぼれ話、時事ニュース解説などのここでしか聞けない話など様々なコンテンツを発信。
アメリカ保守派で話題の書籍やSNS投稿を翻訳・編集して解説する独自性のあるコンテンツも多数。
国内で一般社団法人が運営するチャンネルでトップクラスの登録者数を獲得できている理由は、発信者の立場が明確であり、専門知識のある人を招いての対談など情報の質が高くコンテンツのクオリティと価値が担保されているからです。
「保守派」という発信者の立場が明確であることで保守派の人はコンテンツを見るし、逆に保守派以外の人も見るでしょう。
アメリカの最新情報を翻訳するなど、ニーズがあり、かつここでしか得られない情報を発信しているのも大きなポイント。どんなジャンルで発信するにせよ、かなり参考になるアカウントです。
⑥WWFJapan
世界100カ国以上で自然保護活動を行っているNGO、WWFJapanが運営するチャンネル。
国連気候変動会議「COP23」の現地レポート、絶滅寸前の危機に陥っている動物たちの子育ての様子などのコンテンツを発信。
2015年にネコ科動物の危機を取り上げたキャンペーンを開催し、そこで投稿した動画は2022年現在238万回再生されており、この動画から多くの支援者獲得に繋がったと予想されます。
動画を活用するメリットは、社会課題のリアルな現場を伝えることができ、印象的でかつ多くの人の共感を呼び具体的なアクションに結びつきやすい点にあります。
動画のメリットを最大限に活かしたコンテンツを発信している良い参考事例です。
⑦日本財団
「みんなが、みんなを支える社会」を目指す日本最大の社会貢献財団である日本財団が運用するチャンネル。
子ども・障害・災害・海洋・国際協力などの分野を含む世の中の社会課題に関する動画や、緊急時に役立つ情報など様々なコンテンツを発信。
2021年10月より社会課題に直面する人、あるいはその解決に取り組む人の1日に密着するドキュメンタリー番組「ONEDAYs」やYouTuberや文化人、アスリートなど、異なる視点を持った2人が社会課題についてお互いの意見を交わす対談企画「2CHAIRS」など社会課題に触れる動画コンテンツ2シリーズを配信。人気コンテンツとなっています。
動画ごとにテーマを明確にし、当事者に密着したドキュメンタリーや影響力のある著名人が出演する対談企画など非常に練り込まれたクオリティの高いコンテンツが多数。
ニッチなテーマであっても、視聴者にどう興味をもってもらうか?どんな見せ方が良いか?しっかり考えることで多くの視聴者に再生されています。
⑧LGBTQ+チャンネル「なないろワールド」
実際に起きた体験談を元にLGBTに関する解説や体験談を投稿するチャンネル。
LGBTに関することを当事者と、当事者以外の人両方に向けてアニメーションで分かりやすく解説。LGBTの用語解説やあるある、驚きの体験談などのコンテンツを発信しています。
発信テーマが絞られているので分かりやすく、LGBTのことを世の中の人にもっと知ってほしいという明確な想いが伝わります。
動画内容が分かりやすく、アニメーションを活用しているのがポイント。
団体内に顔を出して喋れるような演者がいない場合にも、アニメーションを活用することで自分たちの理念や活動内容を発信することは十分可能です。
⑨鬼ごっこ協会
「鬼ごっこ」の普及を通じて、子ども達の健全育成や地域活性化を行うことを目的とする一般社団法人鬼ごっこ協会が運営するチャンネル。
鬼ごっこの遊び方やルール、鬼ごっこリーグの情報などを含むスポーツ鬼ごっこの最新情報を発信しています。コンテンツは完全に鬼ごっこに特化しており、スポーツ鬼ごっこ全国大会の様子を配信するなど独自コンテンツが多数。
コンテンツは平均的にそこまで再生数が伸びていませんが、「鬼ごっこ」という狭いテーマを深く、専門的に発信しているためコアなファンがつきやすくなっています。
実際動画内でクラウドファンディングの呼びかけなどもしており、YouTubeを通して人を巻き込みコミュニティ化に繋げている事例だといえます。
⑩JSPO -日本スポーツ協会-
「スポーツと、望む未来へ。」をキャッチコピーに公益財団法人日本スポーツ協会が運営するチャンネル。
スポーツにおけるハラスメント防止や熱中症予防などの注意喚起、アスリートのインタビューや団体紹介など多彩なコンテンツを発信。
特に注意喚起を促すものや、競技中のアスリート目線のVR動画などが人気コンテンツになっています。
情報としての価値が高いものや、ここでしか見れないものなどが特に再生されています。
スポーツをもっと良くしたいという想いから注意喚起を始めとする様々なコンテンツを発信しており、少しでもスポーツをする人の助けになりたいという姿勢が感じられます。
チャンネルの運用目的が営利目的でないからこそ、自分たちの想いを多くの人に届け少しでも役に立ちたいという意識が何よりも重要です。
まとめ
動画は今や、情報発信におけるメインツールとなっています。
NPO法人を始めとする非営利団体が支援してもらうには「新たな支援者を集める」か「既存の支援者に支援してもらう」かですが、YouTubeを活用すればどちらにも繋げることができます。
NPOや一般社団法人のYouTubeチャンネルは年々増えていますが、登録者数などにおいてアカウントごとに、差が浮き彫りになっているのが現状です。
伸びていないチャンネルはYouTube運用のコツややり方を理解できていないことが大半であり、だからこそ新規参入するチャンスがあります。
YouTubeは、やみくもに始めても上手くいかないので、しっかり準備をしてからチャンネル運用に臨みましょう。
今後もYouTube市場は更に、加速していくことが予想されます。
今回ご紹介したYouTubeを活用するメリットと、非営利団体の活用事例を是非参考にしてみてください。
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